
「海外MBAに行ってよかったと思うか?」とたびたび聞かれる中で、模範的な答え+αは前回の記事で整理したとおりかと思います。
今回は自分にとっての価値をもう一段掘り下げるべく、文章に残したいと思います。
資本の論理への解像度が高まった
金融出身の人からしたら何のことはありません。会社や事業を経営する上で「タダな」お金はなく、誰かが何らかのリスクと期待をもってお金を出している、という話です。
ファイナンスの授業でエクイティとデットの最適資本構成を学んだり、スタートアップの授業で株主構成や希釈化リスクを学んだりする中で、経営をする上で、誰を意識して、どう資本の配分・インセンティブ設計をするかが肝だということを学びました。
もちろん理論だけであれば、書籍でも読めるため、実際にMBAに来ている学生からPEファンドの投資の判断軸や投資銀行のIPO支援の現実を聞くことで、理論と現実のギャップを「頭の中」で埋めることにも繋がっていると思います。時間と物理的な限界もあり、すべてを実地で体験することは不可能ですが、身近な友人からリアルな話を聞くことは、本を読む/授業を聞くだけでは得られない、学びの効用があると思います。
経営コンサルティングの世界にいても、ファンドが顧客でない限り、資本の論理を意識する機会は少ない(事業や組織の問題が多い)ように感じており、資本の学びを得ることで、経営や事業を捉える上での土台が上がったように感じています。
Entrepreneurshipへの捉え方が変わった
起業・アントレの世界にもともと興味があり、仕事で起業家の方と接する機会も多かったのですが、この世界は遠い世界だ、という自身の中での認識をどうしてもぬぐえませんでした。
実際、大学の友人の多くが大企業で働く中で、起業をしたり、スタートアップで働く友人が決して多くない点も、私の中での認識に大きく影響しています。
その点、MBAに来てからは起業を志したり、起業経験のある人と多く接する中で、Entrepreneurshipが何か特別な人たちのものではなく、Leadershipと同じくらい、誰もが実践できる可能性のある世界だと感じました。(成功できるかは別)
一口にEntreprenershipと言っても、ユニコーンを目指して一から創業を目指すケースもあれば、連続起業を前提としてまずはスモール~ミッドサイズを狙う(実際、スモールビジネスで成功した資金を原資にMBAに来ている友人もいる)戦略的なケースもあり、ゴール設定によって様々だと思いました。最近だとETA (Entrepreneurship through Acquisition)のように既存事業を買収するEntrepreneurshipの形もあることに裾野の広さを感じています。
自身が何にモチベーションを感じるかの言語化が進んだ
MBAに来て広がった世界として、上記の組み合わせで、Entrepreneurship×Financeがあります。Entrepreneurshipを広く捉えるとして、業界で括るとPE/VCとETAの世界です。
個人的にETAの世界に興味をもって、もう少しMBAの中で踏み込みたいと考えているのですが、ETAへの興味の理由がよく言われるSearcher(自身で買収・承継先を探して、投資家を集めて、実際に経営する人)ロールの魅力ではなく、エコシステム形成の視点で関心を抱いたことで、自身の根底にある価値観に気づかされました。MBA生に人気のPEやVCではなく、ETAのエコシステムに心を動かされた理由は、この領域が市場として未成熟・Emergingである点にあります。
PEやVCの世界は世界的に有名なプレイヤーがいて、圧倒的な資金力をもってゲームを左右している中で、ETAの世界はまだ決定的な勝者がいなく、ゲームのルールもこれから作っていくような段階であると感じています。
このゲームのルール作りにどの立場から関わるかは個人の趣味・強み次第だと思いますが、大きな可能性がある一方で、ボトルネックだらけの領域に対して、人・資本・技術を外から入れ込んで、現実的な価値へと変換していく、という動き方には心が躍ります。
これまで自分の中で、スタートアップのファウンダーやETAのSearcherのようないわばドライバーのポジションに座ることだけをEntrepreneurshipと考え、何となく自分と異なるものと捉えていたのですが、新しい業界やエコシステムを少し周辺からでも形成することに関わることは自分なりのEntrepreneurshipと呼んでよいのではないか、と感じた次第です。



