generationyのブログ

コンサルで見習いをしています

新卒6年間の振り返りと次の3年間に向けて

以前、3年間の振り返りをして気づけばもう3年が経ちました。

社会人になり、転職などしないと区切りもなく毎年年次を更新するので、一区切りする意味で振り返りをしようと思います。

 

この3年間も変わらずコンサルとして仕事を続けました。

その中で変わった部分と変わっていない部分があるので、変わった部分から書こうと思います。

 

変わった部分として、プロジェクトの中で見える景色が大きく変わりました。

3年前はプロジェクトメンバーとしてプロジェクトを前に進めることだけを考えていましたが、この3年間はプロジェクトの大半をプロジェクトリーダーとして過ごしたことで、プロジェクト全体の視点で物事を考える機会が増えたと思います。

特に顧客との関係構築はプロジェクトリーダーとしての原体験となる失敗も含め、経験を積む中で、自分の中での型のようなものを作った期間でした。

その甲斐もあり、最近は顧客との関係深化や顧客の成功・プロジェクトの拡大を考える機会が以前より増えたと思います。

一方、プロジェクトが進む過程でプロジェクトメンバーとのコミュニケーションには難しさ・歪みを感じる場面も増えてきました。

顧客との関係構築がプロジェクトの成否を左右するため、顧客の思考に自身の考えを同期させるあまり、メンバーから「顧客の言いなり」と言われる場面もありました。

顧客と一体にならなければプロジェクトは前に進まない、と強く信じる一方で、メンバーがそれに対して疑問を感じている状態に対処しなければどこかでチームが壊れてしまう危機感が常に隣り合わせにあります。

特にプロジェクトが一定成功するとその小さな成功を守りに行き、保守的な運営をする性格が自身にあるため、更にアクセルを踏もうとする意見に対しては、否定的になりがりなことに気づきました。

心理的に抵抗感があったものの、結果的にアクセルを踏んでよかった、と感じる経験がここ最近続き、直感に反する意見を受け止められるようになりたい、と強く思います。

 

次に変わった部分として、専門性と言われるスペシャリティの部分があります。

以前の3年間はスペシャリティがなく、自由に色々なプロジェクトに入っていたのですが、最近はイノベーションや新規事業の領域に軸足を置くことが増えました。

軸足を置くことが増えたと言うと聞こえはいいのですが、良くも悪くもこの領域の仕事の引き合いが集中し、他の仕事をする隙間がなくなった形です。

コンサルティングは人月ビジネスなので、常にプロジェクトで身体が埋まっている状態はファームとしては理想なのですが、最近同じテーマで身体が埋まりすぎて、新しいテーマに挑戦する遊びがなくなっていることに漠然とした不安を感じています。

最近読んだ本に「スペシャリティがキャリアを作る」という言葉があり、この言葉が実感を伴うようになったことに嬉しさを感じつつ、一方で「スペシャリティがキャリアを狭める」ことにはしたくないな、と不安を感じることもあります。

この点、コンサルに限らず、新卒で比較的将来のキャリアを広げることに重きを置いた人が、入社して一定期間経つ中でどう感じるのか、同年代の率直な感想に興味があります。

スペシャリティが自身のやりたかったことならよいじゃないか、という気持ちももちろんあるのですが、経営コンサルティングの広い領域の中で当該領域のカバー範囲は決して広いとはいえず、その中で今後長く仕事をしていくことに不安がないといえば嘘になる、という感覚です。(そもそも経営コンサルティングをずっと続けていくんだっけ?という観点もありますが、それはまた別の機会に整理したいと思います…)

ちなみに経営コンサルティングには大きく戦略と業務の区分があるのですが、イノベーションや新規事業の領域は両領域をまたぐため、戦略と業務の両方の領域の人に異質に見られる感覚もあります。(見方を変えれば両方を繋げられる貴重な領域でもあり、それがまた面白くもあります)

最近、ChatGPTが大きなトレンドになっていますが、ChatGPTに「イノベーションは戦略コンサルの仕事だと思う?」と聞いたところ、「一般的な戦略コンサルの守備範囲を超えるが、デザイナーやエンジニアなど多様な専門家とのコラボレーションが必要な新らしい領域」(要約)と回答が返ってきて、何となく自分が目指している世界と大きく違わなそうなことに安心感を覚えました。(ChatGPTに聞いて安心してどうするんだという話ですが)

 

その点、3年前の振り返り投稿で、コンサル1.0(戦略)、2.0(業務)に続く、3.0(何か)を目指したいと書いたのですが、その方向性には変わりはないです。

加えて、3.0の構成要素は「多様な領域を横断するコラボレーション」であることとここ数年で特に着目されている「社会課題解決」(経済価値と社会価値の両立)に資する領域であることが要件だと個人的には言語化しています。

 

ここまで3年前と変わったところを書いてきたのですが、変わっていないところは「広く見るとコンサルだが、従来のコンサルらしくない」領域を目指している点にあると思います。

今後しばらくイノベーションや新規事業に軸足を置くことに大きく変わりはないと思いますが、既存のプロジェクトのカバー領域だけではどうしても視野が狭くなるため、「両利き経営」のように経営改革全般のテーマに自身のスペシャリティを引き上げられるかが大きな試金石になると考えています。

 

加えて、改めて試金石に感じたのは、イノベーションの仕事をする上で、「海外」は外せないな、という点です。

最近シリコンバレーに出張する機会に恵まれ、月並みですが、イノベーションの最前線・一次情報に触れる経験は得難いものがありました。例えば、Uberを呼び、テスラ車に乗り込み、ボタン一つで自動運転に切り替わる景色は日本との距離を感じさせるに十分な体験でした。

そのため英語の修練は何度も試みては本気になる前に雲散霧消するレベルだったのですが、英語力で損しているな、と素直に感じたため、まずはスタンフォード大学(冒頭の写真です)の書店で買い込んだデザイン思考の本の山から読み始めています。

 

最後に少しメタ的な話になるのですが、仕事とは何だろうと最近たまに考えることがあります。その中で「顧客が価値を認め、対価を払うもの」は何でも仕事と捉えるようにしているのですが、目の前の顧客が価値を認めるものを探索する点はコンサルとして鍛えられた一方で、自身が価値があると信じるものを買ってもらえる顧客を探す、という観点は弱いな、と最近感じています。

後者の価値を認める顧客を探すは「プロダクトアウト」と言われ、顧客が求めていない技術や機能が起点のモノづくりと批判されることが多くあるのですが、逆に自身が価値があると強く信じられるものを売れる「プロダクトアウト」は真に商品に自信がないと売れないな、と情景の念を抱くこともあります。

コンサルビジネスはその性質上、プロダクトアウトにならない(はず)なのですが、もっとプロダクトアウトになってもよいのではないか(逆に言うとプロダクトアウトでも売れるくらいの強い商品・サービスが作れたら強い)と思います。

最近チームの中で、よく「利己と利他」という言葉を好んで使います。

個々のメンバーの利己的なモチベーションを顧客や社会のためとなる利他的な世界へとつなぐストーリーが描けると「利己と利他」の歯車がまわり、信じられないような推進力がプロジェクトに生まれる経験(不可能と言われていたゴールが実現してしまう経験)をしたことがあり、「利己と利他」の両立がチームの大きな強みになると感じています。

 

「利己と利他」は「プロダクトアウト」と同様、ともすると批判の対象になる(仕事で利己などふさわしくないと考える人も多くいる)点で難しさがあるのですが、何となく仕事に埋もれて生きるより、子どもが好奇心のままに物事を追いかけるような原動力を大人も取り入れられるともっと社会全体が元気になるんじゃないか、と利他っぽく表現しっつ、利己的に思います。(結局、利他などない。利他だと思っている自分も利己だ、と言い切った同僚もいて、ここまで来ると哲学の世界です)

 

まとめにならないまとめをすると、この3年間で仕事の中で一番変わった点として、自身が主語になることが減り、チームや顧客が主語になることが増えたことが一番の変化だったと思います。

一方、それは自己犠牲の高貴な思想に基づいているのではなく、「そのほうが面白いから」「そのほうが大きな原動力を生んで、信じられない結果につながることがあるから」という利己的な視点も含めた中での主語の転換だと理解しています。

次の3年間に向けては変わらず「コンサル3.0」を追求しつつ、「利己と利他の両立」を探索し、「プロダクトアウト」に挑戦し、(自身以上に)チームの成長が大きな成果につながることにこれまで以上に心を砕く、そんな3年間にしたいと思います。

 

誰向けに書いているのかというと何より自分向けに書いているのですが、何となくこの場で考えを整理しておくことで、次に繋げられたらと思います。